2026/05/25 17:15

伊吹山の山頂には、いくつかの山小屋があります。

そのひとつ、いまは営業していない雲上荘をリフォームし、新しい施設として生まれ変わらせる、そんな山小屋再生企画が動いていました。

松仙館「紡~つむぎ~」
そのボランティア募集を知り、私たちは夫婦で参加することにしました。

活動は1泊2日。
古い天井や壁を剥がし、雨漏りを修理し、長い時間を背負った小屋を掃除する。

華やかな作業ではありませんが、山を愛する者にとって、山小屋を「使う側」ではなく、「支える側」として関われる機会は、何よりも特別でした。


そもそも、私がこのボランティアに応募したのは、はっきりとした理由があります。
私が登山を始めるきっかけになった山が、伊吹山だったからです。

2003年ごろ、北海道から愛知県へ引っ越してきた私が、こちらで初めて登った山が伊吹山でした。
そこから私は、伊吹山の魅力に深く惹かれていきました。
昼の登山も、夜の登山も、雪の季節も。
気がつけば、毎月、一時期は毎週のように通うほど、伊吹山は自分にとって特別な山になっていました。


――そして、何年も後に結婚してから

今度は妻を初めて登山に連れていき、二人で一緒に登った山も、やはり伊吹山でした。
私にとっての「はじまりの山」は、夫婦にとってもまた、大切な思い出の山になったのです。

今回のボランティアは、2026年5月22日~23日。
そして、妻と初めて一緒に伊吹山へ登ったのは、2021年5月22日でした。

つまり私たちは、気づかないうちに、まったく同じ日付に再び二人で伊吹山の山頂に立っていたのです。

その偶然に気づいたのは、山小屋のスタッフの方でした。
以前、妻と登ったときの写真を見せたところ、写真の日付を見て「え、今日?」と教えてくれたのです。

自分ではまったく気づいていなかっただけに、その瞬間は鳥肌が立つような思いでした。
きっと伊吹山は、こういう不思議な縁を静かに結び続けている山なんだと思います。


伊吹山はいま、以前と同じ姿のままそこにあるわけではありません。
令和5年の土砂崩れで登山道は閉鎖され、現在も閉鎖中です。

だからこそ、毎月登るほど好きだった伊吹山の山頂で、しかも山小屋再生というかたちで関われたことは、言葉にしきれないほど感慨深いものでした。

そして何より、そこに集まっていた人たちとの時間が素晴らしかった。
作業後にみんなで囲んだ温かい食事も、山頂から見た雲海も、小屋に響く笑い声も。
全部が、忘れたくない景色になりました。


伊吹山は、私に登山の楽しさを教えてくれた山です。
それがあったからTozanBASEも生まれました。

今回のボランティアは、単なる山小屋再生の手伝いではありませんでした。

山小屋は、ただ泊まる場所じゃなくて、人の記憶や物語が積み重なっている。
今回私たちは、その物語の続きを少しだけ手伝わせてもらったのかもしれません。

今回関わったすべての皆様、ありがとうございました。